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社長座談会2007

チョコレートの安全性を考える
そして、プロジェクト始動


この座談会は、2007年2月24日に行いました。所属等は実施日のものです。

顔写真 特定非営利法人ACE 代表
岩附 由香氏

1998年に107カ国で実施された「児童労働に反対するグローバルマーチ」を日本で行うことをきっかけに設立された団体です。子どもの発育に悪影響のある労働をなくし、子どもが笑顔でいられる社会を目指します。

チョコレボ実行委員会 発起人・代表
星野 智子氏

チョコ好きな人たちで構成された非営利団体です。「チョコを選べば、世界が変わる」を合言葉に、フェアトレードチョコなど、人にも地球にもやさしいチョコに関する情報をウェブサイトやイベントを通じて発信しています。
顔写真

顔写真 ピュラトスジャパン株式会社 代表取締役 日本支社長
デューコ B. デルゴージュ氏

「ベルギーチョコソフト」の原材料となるベルギーチョコを提供しています。原材料調達に関わる問題をNGOなどと一緒にできるだけ解決し、チョコレートメーカーとしてのサステナビリティを果たしていきたいです。

ミニストップ株式会社 ファストフード商品本部 商品開発部 コールデザート担当
鈴木 涼子

「ベルギーチョコソフト」の販売は今年で6年目。定番商品として育ったそれを発信源として社会的側面から何かできれば幸いです。また、そうした私たちの取り組みを、お客さまに知ってもらいたいです。
顔写真

顔写真 ミニストップ株式会社 ファストフード商品本部 本部長
海保 紳一

チョコレートというとお客さまの幸せな顔が思い浮かびます。商品を開発するにあたって、社会的側面から何ができるのか、どのように踏み出していったらよいのか、この機会に勉強させていただきたいと思います。

ミニストップ株式会社 代表取締役社長
横尾 博

ブランド力に対する社会の認識は変わりつつあります。商品名の裏にあるメッセージをしっかりと理解し、信頼や安心を築いていきたい。ミニストップの一つひとつの商品を通じて、安心を考えるきっかけづくりができれば嬉しいです。
顔写真




カカオ生産現場の現状と課題 (以下敬称略)


横尾 これまで食の安全は品質を中心に考えられてきましたが、環境面・社会面での安全性も問われるようになりました。まずは、生産現場の状況を教えていただけますか。

星野 チョコの原料となるカカオは、約70%がガーナやコートジボワールといった西アフリカで生産されています。そのカカオ農園には、学校にも行けず、一日中働かされている子どもが28万人以上いるそうです。

岩附 コートジボワールだけでも児童労働者は推定13万人。西アフリカで働く子どもたちの64%が14歳以下だといわれています。大なたをつかう、3m近くあるカカオの木に登るなど危険が従う作業です。ガーナのある調査では95%の子どもが袖なしシャツに半ズボン、ゴム草履姿で農薬をまいていたそうです。

星野 カカオは価格変動が大きく、適正な報酬が得られないことも問題となっています。さらに、プランテーションによる生態系や地域住民への影響、一つの作物に頼り切ってしまう経済的なリスク(災害などによる収穫上の損害)なども心配されています。

岩附 カカオの平均価格は、現在は1トン1500ドルくらい。1970年代は4800ドル、85年は2800ドル、92年は785ドル、200年は720ドルでした。また、国によってカカオの取引価格が違うので、農家の収入は産地ごとに差がひらいています。

星野 そうした問題を改善する取り組みの一つとして、フェアトレード(*1)チョコの推進が挙げられます。今年のバレンタインに、チョコレボ実行委員会主催によるフェアトレードチョコのセレクトショップを3日間限定で開いたのですが、オープン前から行列ができるほど反響がありました。

横尾 社会的側面からの安全性について、感度の高いお客さまが増えています。誰の手によって、どういう工程で作られているのか、プロセスの情報開示が求められてきています。

(*1)フェアトレード:貧困のない公正な社会をつくるための、対話と透明性、互いの敬意に基づいた貿易のパートナーシップ。農薬や化学肥料に頼らない自然農法や、生産地で採れる自然素材と伝統技術を活かした生産によって、持続可能な社会を目指す。



チョコレートの製造工程における安全性への取り組み


デルゴージュ ピュラトスではクーベルチュールチョコレート(*2)をご提供しています。チョコレートの製造工程としては、まずカカオ豆を焙煎し細かく砕いてチョコレートのベースとなるカカオマスをつくります。それをフィルタープレスで絞り、脂とココアケーキ(ココアの固まり)に分けます。脂は脱臭してココアバターに、ココアケーキは破砕してココアパウダーになります。次に、カカオマスとココアバターと砂糖と粉乳を混ぜて練り上げます。さらに香料とレシチンを合わせて最後にタブレット状に包装という手順で製造します。

カカオ豆からチョコレートになるまで


横尾
 チョコレートの農薬チェックについてはどうですか。

デルゴージュ カカオ農園は小規模な家族経営である場合が多く、各農園でいつ、どのくらいの農薬を使用したかを記録することはできません。ですから、HACCP方式(*3)に基づいて、原料サプライヤーから安全証明書を取得し、さらに自社製品での検査を行っています。

横尾 ミニストップの開発で、トップバリュ(*4)からフェアトレードの缶コーヒーを発売しました。現状では「フェアトレードとは何なのか」ということを認識してもらうには、まだまだ時間がかかるという印象がありますが、「近くで買いました」とのメールをわざわざくださった方など、多くのお客さまに賛同していただきました。今後は、国内のより安全性の高いオーガニック商品や、フェアトレードの農作物を使った商品開発を1つのキーにしていきたいと思っています。

星野 フェアトレードはヨーロッパではNGO、アメリカではチョコレート購買をボイコットする消費者団体から呼びかけがはじまりました。日本では、お店にフェアトレードの商品を置いてあることが、消費者にとって良い啓発になり、買った人の輪が広がるという好循環になると思うので、企業がリードしてメッセージを送るのは日本らしいやり方だと思います。

岩附 最近では、ワールドココアファンデーション(世界カカオ基金)に日本の食品メーカーも加入し、企業の間でも関心が高まってきているようです。

(*2)クーベルチュールチョコレート:製菓用に使われるチョコレート。
(*3)HACCP方式:1960年にアメリカNASAで開発された食品衛生管理の方式。入荷から製造・出荷の工程における危害を分析し、重要なポイントを中心に管理することで不良製品の出荷を未然に防ぐ。
(*4)トップバリュ:イオンが安心品質の製品として企画・開発しているオリジナルブランド。




商品情報のさらなる開示に向けて


座談会の様子写真海保 ミニストップでは年間約3000万個のソフトクリームを販売しています。それは、国内シェアの10%にあたり、トップを誇っています。その社会的責任としてソフトクリームは年4回の自主検査をし、さらに年2回、全店舗で衛生検査を行っています。店舗衛生調査では年々100点満点に近づいています。それから、ソフトクリームマイスターの資格を定め、年間3000人以上が認定されています。

鈴木 ソフトクリームミックスの安全面で一番配慮していることは、無菌であり続けること。菌数管理を重視しています。お客さまは、安くておいしいから商品を買う。フェアトレード商品が児童労働のない安心な商品だからといって高くても買っていただけるかどうかどうかは難しいところです。

岩附 フェアトレード商品は高くても買うというお客さまが一部に出てきています。お客さまに共感してもらえるように考える役割は企業にもありますが、メディアを通じてお伝えする方が、影響が大きいと思います。フェアトレードの商品は量が限られるところがネック。だからフェアトレードにしたくても調達量のシェアが圧倒的に少ないため自分たちだけでは変えられない、ということがあります。しかし、自社でオリジナルのガイドラインを設け、生産者と互いに利益をもたらすことができる関係を築いている企業もあります。そしてそのような働きかけをすることで他企業の意識も高まっていく点があります。シェアの大きい企業は責任も大きいので、調達の現場で起きている問題に気づくことで業界内の気づきを伸ばして欲しいと思います。またNGOとのパートナーシップはいろいろな形がありますので、現地で活動しているNGOとパートナーシップを組んで現地の子供たちを支援するというのも1つの方法だと思います。

デルゴージュ:1つの企業が動けば、他の企業も動いていきます。企業が強いイニシアチブを持って取り組んでいけば、政府や市民の意識はもっと高まります。

岩附 政府から政府への援助は、金額は大きいけれど時間がかかります。それに対しNGOからNGO、市民から市民というのは、規模は小さいけれど早いです。企業の援助を受けてNGOがプロジェクトを実施していけば、機動性があって効果的だと思います。

星野 カカオの農園に対するファン層を広げていくことも大切ですね。「現地を応援する付加価値」がついているフェアトレード商品を買うファン層を広げるには、小さな顔の見える生産者団体をこの商品を買うことで支援していると、ダイレクトに伝わってくることだと思います。その際に、今までの常識では安定供給ということが大事だと思うのですが、視点を変えて見ると、常に手に入る安定供給ではないけれど、農家を支えて商品を買っているという意識を持つお客さまがいらっしゃいます。農園のファンが増えて、農園にトラクターを買うことができ、地域に学校ができることが、ポジティブなトレーサビリティーとして返ってくることが、お客さまの要求につながっていくのではないでしょうか。そのためには現地でリポートしたり、メディアを通じてPRしたりすることが必要です。

海保 現状私たちが西アフリカの農家1軒1軒を管理するのは難しい。今、できることは現場の実態を勉強し、それをお客さまへ知らせること。そして今回のような勉強会を継続的に行って、生産者の方々に対して何が出来るのかを考えていきたいと思います。チョコを食べる幸せが、生産者の幸せに近づけるといいですね。

鈴木 今回はチョコレートが主題でしたが、全社的に広めるのであればチョコレート以外の商品についてもフォーカスして商品本部員全員が知識を持てるように教育の場を活かして働きかけていきたいと思います。

デルゴージュ:西アフリカへのスタディツアーを実施して、現地を見てみましょう。そして、具体的にフェアトレードの商品の購入目標を決めましょう。

横尾 現地へ行って、生産者と話し合いながらつくっていくことが大事ですね。自分たちがつくったカカオがどんな人たちの手によってどんな使い方をされるのか。お客さまの喜ぶ顔が見られるのは生産者として幸せなこと。だから、そういう意味でも情報開示をきちんとしていくことは大切なことですね。



まとめ


  • カカオ農園の児童労働問題をはじめ、カカオ栽培から加工・製品化に至るまでのプロセスが企業にも一般の方にも知られていない。
  • フェアトレード商品についての知識や理解を高めるために、企業が主体性をもって取り組む必要があるのではないか。
  • 原材料調達に関する社会的側面への配慮は、企業やNGO、市民団体などが協同で取り組みをしていくことが望ましい。
  • まずは現地の事情を勉強することからはじめたい。




そして、プロジェクト始動

ベルギーチョコソフトプレミアム店舗限定販売

※商品価格は販売当時のものです。
  予めご了承願います。


 その後、カカオ豆の生産現場で起こっている「児童労働」についての勉強会を重ね、「健康」「安心」「便利」をお客さまへお届けする企業として何ができるのかを考えてきました。
  そして、従来から信条としているお客さまの身体に対する「安心」とあわせて、これからは「心の安心」もお届けしていきたいと考え、フェアトレードのカカオ豆を原料とする「ベルギーチョコソフトプレミアム」を開発、店舗限定で販売を始めました。

販売期間
2008年1月26(土)〜2月29日(金)(商品がなくなり次第終了)

販売店舗
若林4丁目店、荏原6丁目店、池上6丁目店、大鳥居駅前店、中野若宮店、中野駅北口店、杉並成田西店、高円寺南2丁目店、上井草店、都立大店、西蒲田店、西蒲田4丁目店

オリジナル・フェアトレードチョコレート販売
 上記店舗では、ピープルツリーの板チョコレートや、ソフトクリームと同じチョコレートを使用した日本製としては初のオリジナル・フェアトレードチョコレートも販売しています。座談会からこのプロジェクトにご協力いただいたチョコレボ実行委員会には、「幸せカカオの、やさしい口どけ」というキャッチコピーをつけたかわいらしい販促物や店内ディスプレイなどでもご協力いただきました。
One More Love募金
 また、児童労働をなくすために活動を続ける特定非営利法人ACEへの活動資金のための募金活動「One More Love募金」も上記店舗のレジ横で展開しています。これは、チョコレートの先にある世界へ想いを馳せて、世界で働く子どもたちへも愛を伝え、児童労働をなくすための活動に充てられます。皆さまのご協力をお願いします。
ミニストップは、これからもお客さまのお手元に心も安心できる商品の調達を進めます。

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