当社は、「2030年までに店舗で排出するCO2を2013年度比で50%削減する」という目標を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しております。
また、2022年5月に、気候関連財務情報開示タスクフォースタスクフォースであるTCFD(※)の提言に賛同いたしましたので、TCFD提言が推奨する、気候変動に関するガバナンス、戦略、リスク管理、対応策および指標と目標に関する情報を開示いたします。
※TCFDは、G20の要請を受けた金融安定理事会により2015年に設置されたタスクフォースで、低炭素社会へのスムーズな移行と金融市場の安定化をはかるため、気候変動が企業へ及ぼす財務影響について情報開示を行う際のガイドラインを提言しています。

ガバナンス

当社は、取締役会を毎月1回以上開催し、子会社を含めた当社グループ全体に関わる重要事項の意思決定と取締役の職務遂行の監督を行っております。加えて、取締役会を補完し経営諸課題に対する迅速かつ適切な対応を図るため、取締役および各部門執行責任者による経営会議を毎月2回以上開催しております。
また、豊富な経験と高い見識を有する社外取締役3名(いずれも独立役員)および社外監査役3名(うち独立役員1名)が取締役会に参加するとともに、社外監査役である常勤監査役を経営会議の構成員として招集し、資料および議事録を閲覧できる体制を整備するなど、業務執行および監査・監督機能等の充実を図っております。
気候変動関連に関しては専門のTCFD事務局を設置し、リスク・機会の管理をするとともにシナリオ分析を進め、内部統制システム委員会および経営会議にて評価し、取締役会へ報告しております。

【コーポレートガバナンス体制】

【気候変動関連体制】

戦略

1.リスク機会の特定

当社が主に展開している日本国内の事業店舗(加盟店・直営店)における気候変動リスク・機会を整理し、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会、気象パターンの変化や気象災害の激甚化等による物理的リスク・機会について検討し、当社事業に影響を与えうる重要なリスクと機会を特定しております。

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移行リスク・機会

リスク・機会項目 リスク 機会 影響時期 これまでの取り組み 今後
政策/規制 各国の炭素排出目標・政策 GHG排出規制が強化され、より高い省エネ基準の達成が求められ機器の入れ替え等が発生し投資が増える。行政への報告がさらに強化され運営コストが増える。 店舗での省エネ機器の入れ替え、太陽光パネル等の設置により購入電力量の削減 中期 店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え 店舗における計画的な省エネ機器の入れ替え
電力価格 電力価格が高騰しエネルギーコストが増加。また、原材料調達コスト、製造コストが増加。収益構造が悪化する 店舗での省エネ機器の入れ替え、太陽光パネル等の設置により購入電力量の削減 中期 2022年11月~2023年4月コスト削減委員会にて対応策議論・店舗における計画的な省エネ機器への入れ替え・市場連動型電力 店舗における計画的な省エネ機器への入れ替え・市場連動型電力エリアの拡大
プラスチック規制 脱炭素素材(バイオプラ等)の原料高騰・環境配慮素材への切り替えによる加盟店経費の圧迫・対応遅れによるブランドイメージの低下 対応を早めることでブランドイメージが高まる 中期 ソフトクリームのプラスプーンを食べるスプーンへ切り替え FFを中心にプラ容器から紙容器への変更・プラスチック製カトラリーの段階的廃止
炭素税、炭素価格 温暖化対策税等の引き上げにより、資材等の調達コストや燃料費、電力料金が上昇。経済活動に伴うコスト負担見通しが立てにくくなる 温室効果ガス排出量ゼロ達成時に炭素税が非課税になる 長期 情報収集 環境関連の研究会等へ参加し情報収集
技術 電気自動車の普及 店舗敷地内への充電設備の設置を求められ、対応できない場合は集客力が低下する。営業車、配送車のEV化による投資拡大。 充電設備を設置できれば、競合他社との差別化が図れ集客力に影響する。社有車のEV化により、ガソリン利用がなくなり経費を圧縮できる。 中期 店舗敷地内にEV充電器を設置(52件) 店舗敷地内へのEV充電器の設置の拡大
再エネ・省エネ技術の普及 投資の拡大 再エネ・省エネ技術の普及により、エネルギーコストの抑制が可能 中期 市場連動型(高圧)への移行・東北、東京、関西電力エリア 市場連動型(高圧)への移行・市場連動型電力エリアの拡大
評判 顧客の嗜好変化 既存ビジネスモデルが訴求力を失う。競合激化によりシェアを失う。 環境配慮型商品の開発により売上の増加 中期 ソフトクリームバニラ食べるスプーン付きのカーボンフットプリント算定、および削減策の検討・ベトナムチョコソフトやサステナブルコーヒー等、環境に配慮した商品の販売 カーボンフットプリント算定アイテムの拡大および削減策の実行・ソフトクリームを基点として継続的に環境・健康に配慮した商品を開発・販売していくとともに、店舗を中心とした社会課題の解決に取り組む
投資家の評判変化 気候変動への取り組みや開示情報が不十分な場合、投資家からの企業価値が低下 十分な開示ができれば投資家からの企業価値が高まる 中期 TCFDのフレームワークに合わせてHPにて開示・店舗における省エネ機器への入れ替え、市場連動型(高圧)への移行、プラスチックスプーンから食べるスプーンへの切り替えによるプラスチックの削減等、環境目標の計画的な実行 店舗における計画的な省エネ機器への入れ替えや市場連動型電力エリアの拡大、FFを中心にプラ容器から紙容器への変更等、環境目標の進捗状況の定期的な把握と計画的な実行を進める。

物理的リスク・機会

リスク・機会項目 リスク 機会 影響時期 これまでの取り組み 今後
急性 異常気象の激甚化 豪雨・高潮等の発生により浸水・突風・土砂崩れが発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する。休業による売上損失。サプライヤー、配送センターの被災により、商品の供給が停止する。 店舗の早期営業体制の構築 短期 災害規程、マニュアルの整備、統一化(事業継続基本計画書・地震対策マニュアル・自然災害マニュアル等の整備)・事業継続基本計画書の被害想定更新 整備した内容を運用するとともに、富士山の噴火や大地震等の突発的な自然災害が発生した場合の訓練の実施
慢性 降水・気象パターンの変化 記録的な豪雪や激しいひょう、干ばつ・熱波・寒波、落雷、噴火等が発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する。保険料が引き上げられる。原材料の生産に影響があり、商品供給量が低下する。 原材料調達地域の分散化・代替商品の開発 長期
海面の上昇 高潮等の発生により浸水が発生し、お客さま、従業員、店舗施設に大きな被害が発生する。保険料が引き上げられる。 店舗の早期営業体制の構築 長期
平均気温の上昇 猛暑日が増えることにより、空調運転に負荷がかかる。店舗の電気使用料が増加。配送センターでの電気使用料増加。 猛暑日が増えることにより、飲料・氷、コールドデザートを中心とした商品の売上増加。 長期 2022年11月~2023年4月コスト削減委員会にて対応策議・店舗における計画的な省エネ機器への入れ替え・市場連動型電力 店舗における計画的な省エネ機器への入れ替え・市場連動型電力エリアの拡大

2.シナリオ分析

【シナリオ分析の前提】

対象事業 国内事業店舗(フランチャイズ店、直営店)
分析対象 炭素税の導入やプラスチック規制による店舗運営コストの増加
電力価格高騰によるエネルギーコストの増加
お客さまのし好変化
異常気象や降水・気象パターンによる店舗での物理的な影響などについて分析
対象年 2030年

【シナリオ分析のプロセス】

3.事業インパクト評価

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分類 リスク・機会項目 具体的事象 4℃ 2℃ インパクト費用
4℃ 2℃
移行リスク・機会 政策/規制 炭素価格 炭素税 炭素税は導入されない見込み 炭素税の導入で支出が増加する
サプライチェーン全体で生産に関わるコストが増える
原材料調達コストの高騰
各国の炭素排出目標・政策 電気代 省エネ機器の段階的入れ替えにより、購入電力量が削減される
サプライチェーン全体で生産に関わるコストが増える
原材料調達コストの高騰
サプライチェーン全体で生産に関わるコストが増える
原材料調達コストの高騰
プラスチック規制の強化 カトラリー類環境配慮型素材へ変更 環境配慮型素材への変更が加速度的に進む
カトラリーだけではなく容器・包材等へ拡大
有料化も検討
技術 再エネ・省エネ技術の普及 省エネ機器の導入 省エネ機器への段階的な投資 省エネ機器への投資が拡大
評判 顧客の嗜好変化 サステナブル商品 消費者の企業に対する目が厳しくなりサステナブル商品への関心が高まり売上が増加 消費者のサステナブルな生活が徐々に浸透し、サステナブル商品の売上が増加
物理的リスク・機会 急性 異常気象の激甚化 休業による売上損失 店舗の被災、休業による売上損失
災害の規模や発生頻度により休業が長引き、売上損失が拡大
被災エリアは限定的ではあるものの、休業による売上損失が発生
保険料負担 店舗の被災、休業が拡大し保険料負担が増大 被災エリアは限定的ではあるものの休業する店舗発生による保険料負担が増える
慢性 降水・気象パターンの変化 原材料供給不足 原材料の生産性悪化による供給量が不足し売上が減少する 4℃ほどではないが、原材料の生産性悪化による供給量が不足し売上が減少する

リスク管理

当社は、取引および法的問題、社会・経済、自然現象、政治、技術、経営および内部統制、財務、製品・サービス、雇用、情報セキュリティ、環境問題、労働安全衛生、施設・設備等、企業を取り巻くあらゆるリスクを想定し「リスク管理規程」を定め、グループ各社、各部門、各担当者の責任および役割を明確化するとともに、内部統制システム委員会の下に設置する危機管理委員会を中心とした危機管理体制を構築しております。
危機管理委員会では、事業において想定される潜在的および顕在的リスクを洗い出し、分類、評価し、原因を特定したうえでリスク対策を立案、影響度および発生頻度を分析、重要度を定量的に評価したうえで優先順位の高いリスク対策を優先して実施、実施したリスク対策の効果を確認し、課題を検証する。リスク対策を実施したリスクについて、改めて、影響度および発生頻度を分析し、重要度を定量的に評価したうえでさらなる対策を立案するなど、必要な見直しを行っております。

対応策および指標と目標

当社は、2021年8月に持続可能な社会を実現するため、社会環境に関する3つの目標を掲げました。それぞれ2030年までに達成することを目標に取り組みを進めております。

項目 目標年度 目標値
CO2削減 2030年 店舗で排出するCO2を2013年度比50%削減
食品ロス削減 2025年 食品ロスを2015年度比50%削減
プラスチック削減 2030年 使い捨てプラスチック利用量を2018年度比半減
すべての使い捨てプラスチックを環境配慮型素材に変更

TCFD提言への今後の対応

当社は、このたび気候変動に関するリスク・機会を洗い出し、2℃および4℃シナリオに基づいて日本国内事業に与える影響を分析いたしましたが、今後は、1.5℃シナリオの分析を進めるとともに更なる分析内容の精査が必要と考えております。
事業範囲をサプライチェーン全体まで広げることを視野に入れ、リスク・機会の特定、定量的な把握と対応策の立案・取り組みを精査し内容を深めてまいります。